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雨や雪などの悪天候時、ビジネスシーンでは相手の移動や安全に配慮した一言が印象を大きく左右します。
その代表的な表現が「お足元の悪い中」です。
一見すると無難で便利な言葉ですが、使い方を誤ると不自然な敬語や過剰表現になりがちです。
本記事では、「お足元の悪い中」を中心に、意味・敬語の基礎から場面別の具体例、NG例と改善法までを体系的に解説します。
基本知識:『お足元の悪い中』『足元が悪いので』の意味と敬語の基礎

語句の意味と使い方解説(足元/天候/配慮のニュアンス)
「お足元の悪い中」とは、雨・雪・強風・凍結などにより地面や移動環境が悪い状況を指す表現です。
単に天候や道路状況を説明するだけでなく、そのような条件下でも時間と労力をかけて来社・訪問・参加してくれた相手への感謝を含んでいます。
この言葉の重要なポイントは、相手の苦労を直接的に言わず、さりげなく労う点にあります。
「大変でしたね」と言い切るのではなく、「お足元の悪い中」と婉曲的に表現することで、
相手に余計な負担を感じさせず、自然な配慮を示すことができます。
一方、「足元が悪いので」は、状況説明としては正確ですが、客観的・事務的な響きが強くなります。
社内連絡や事実確認には問題ありませんが、ビジネスの挨拶として使うと
感謝や思いやりが伝わりにくい印象を与えることがあります。
そのため、対外的な挨拶やメールでは、
「足元が悪いので」ではなく「お足元の悪い中」と丁寧に言い換えるのが一般的であり、
ビジネスマナーとしても好まれています。
敬語・謙譲語・尊敬語の線引きと『ご』『ご足労』の扱い方
「お足元」の「お」は、美化語・丁寧語として機能し、
相手の状況そのものに敬意を添える役割を果たします。
この「お」が付くことで、表現全体が柔らかくなり、改まった印象になります。
また、「ご足労」は、相手が足を運ぶ行為そのものを敬う尊敬表現です。
来社や訪問といった行動に対して敬意を示すため、ビジネスシーンで頻繁に使われます。
例:
お足元の悪い中、ご足労いただき誠にありがとうございます。
この例文では、「お足元」で状況への配慮を示し、「ご足労」で行動への敬意を示しています。
両者は意味が異なるため併用は可能ですが、丁寧にしすぎると冗長になる点には注意が必要です。
重要なのは、「どこに敬意を向けている表現なのか」を理解し、
必要な分だけ敬語を使うというバランス感覚です。
要注意:二重敬語や過剰な表現などビジネスでのNG例
丁寧さを意識しすぎるあまり、以下のような表現になると、
かえって不自然で読みにくい印象を与えてしまいます。
- × お足元が悪うございます中 → 過度な文語調で堅すぎる
- × お足元の悪い中ご来社なさっていただき → 尊敬語と謙譲語の混在による二重敬語
- × 大変お足元が非常に悪い中 → 意味の重複による冗長表現
ビジネスでは、「丁寧=長い文章」ではありません。
簡潔で自然な敬語こそが、相手に安心感と信頼感を与えます。
場面別フレーズ集(ビジネスシーン)|来社・訪問・参加時の実例と使い分け

来社・訪問時(対面)例文:お出迎え・案内での一言と足元への配慮表現
受付や入口での第一声は、その日の印象を大きく左右する重要なポイントです。
短い一言でも、天候への配慮があるだけで、相手は歓迎されていると感じます。
例文:
・本日はお足元の悪い中、お越しいただきありがとうございます。
・雨の中お越しいただき、誠にありがとうございます。どうぞ中へお入りください。
ここでは、感謝の言葉を先に伝え、相手を気遣う姿勢を明確にするのがポイントです。
出席・参加の挨拶例:悪天候の中でも効果的なフレーズと時間配慮の伝え方
会議やセミナー、打ち合わせなどでは、
天候への配慮に加えて時間に対する気遣いを添えると好印象につながります。
例文:
・お足元の悪い中、ご参加いただきありがとうございます。開始まで少々お時間がございます。
・悪天候の中お集まりいただき、心より感謝申し上げます。
待ち時間がある場合でも、一言添えるだけで相手の不安やストレスを軽減できます。
メールで使える定型文とテンプレ(お足元の悪い中 ご足労いただき ありがとうの例)
メールでは、対面よりも簡潔さと形式性が重視されます。
長文になりすぎず、要点を押さえた表現が適切です。
例文:
本日はお足元の悪い中、ご足労いただき誠にありがとうございました。
この一文だけでも、感謝と配慮の両方が十分に伝わります。
帰り際・お礼の言葉│ありがとうございました・お気をつけての一言例
締めの言葉では、最後まで安全への配慮を忘れないことが重要です。
帰り道の状況を気遣う一言が、全体の印象をより良くします。
例文:
・本日はありがとうございました。どうぞお足元にお気をつけてお帰りください。
・雨が強くなっておりますので、お帰りの際は十分ご注意ください。
言い換えと表現の選び方:カジュアル-フォーマルまでの調整術

フォーマル例(顧客・上司向け):「お足元にお気をつけてお越しください」を丁寧に伝える言い換え
顧客や目上の相手には、より丁寧で控えめな表現が適しています。
例:
・足元が悪くなっておりますので、どうぞお気をつけてお越しください。
・天候が優れませんので、ご来社の際はご無理なさらぬようお願いいたします。
やわらかい・カジュアル例:同僚や親しい相手への表現と注意点
社内や親しい相手には、堅すぎない表現の方が自然です。
ただし、最低限の配慮は忘れないようにします。
例:
・雨なので足元気をつけてください。
・滑りやすいので、無理せず来てください。
メール文面での適切な言い換え:件名・冒頭・締めの実例
件名では天候への言及を最小限にし、要件が一目で分かるようにします。
件名例:【本日のご来社御礼】
締め例:天候不良が続きますので、どうぞご自愛ください。
NG例と改善法:相手に不快感を与える言葉とその直し方

よくあるNGフレーズ集(二重敬語・過度な配慮・曖昧表現)と修正文
- × わざわざ来ていただき → ○ お越しいただき
- × 大変ご苦労さまでした → ○ ありがとうございました
相手の行動を「苦労」と表現する言葉は、状況によっては失礼に受け取られるため注意が必要です。
相手・状況を誤ると逆効果になるケース(時間・移動の強調)
「大変でしたよね」「遠くて大変だったのでは」など、
移動の大変さを強調しすぎると、相手に余計な負担を意識させてしまう場合があります。
そのため、天候への言及はさらっと触れる程度が最適です。
印象を損なわないための簡単チェックポイント(一言で完結する配慮)
感謝+安全配慮を一文でまとめることで、
簡潔かつ好印象な表現になります。
例:「本日はお足元の悪い中、ありがとうございました。」
実践ガイド:状況別に使える具体的フレーズ+メールテンプレ(本日・時間調整含む)

来訪当日の朝-受付での具体的な声かけ例(本日/時間/足元注意)
来訪当日の受付対応は、相手が最初に接する場面であり、第一印象を大きく左右します。
特に雨や雪など天候が悪い日は、移動で疲れている可能性も高いため、
感謝・時間配慮・安全配慮をバランスよく盛り込むことが重要です。
基本例:
・本日はお足元の悪い中ありがとうございます。少々お待ちください。
この一言だけでも十分丁寧ですが、状況に応じて以下のような補足を加えると、より配慮が伝わります。
応用例:
・本日はお足元の悪い中ありがとうございます。まもなくご案内いたします。
・雨の中お越しいただきありがとうございます。どうぞこちらでお掛けになってお待ちください。
ポイントは長く話しすぎないことです。簡潔で落ち着いた声かけが、相手に安心感を与えます。
訪問先での案内時に使うべきフレーズと相手への配慮の仕方
館内や敷地内を案内する際は、実際の足元状況に即した注意喚起が重要になります。
形式的な挨拶よりも、相手の安全を優先する言葉が好印象です。
基本例:
・足元が滑りやすくなっておりますので、こちらからどうぞ。
さらに配慮を強めたい場合は、次のような表現も有効です。
応用例:
・床が濡れておりますので、どうぞお気をつけください。
・段差がございますので、こちらをお通りください。
相手の動きを見ながら一言添えることで、機械的ではない自然な配慮になります。
メールテンプレ集:到着案内・遅延連絡・お礼メールの具体例
メールでは、対面よりも状況説明を簡潔かつ正確に伝えることが求められます。
特に悪天候時は、相手が状況を把握しやすい表現を心がけます。
お礼メール例:
本日はお足元の悪い中、ご来社いただき誠にありがとうございました。
天候の悪い中にもかかわらずお時間を頂戴し、心より御礼申し上げます。
到着連絡例:
無事に到着いたしました。お足元の悪い中お迎えいただき、ありがとうございました。
遅延連絡例:
天候不良の影響により、到着が少し遅れる見込みです。
ご迷惑をおかけいたしますが、何卒よろしくお願いいたします。
文章は短く区切り、読みやすさを意識することが、スマホ閲覧では特に重要です。
トラブル時の伝え方:悪天候での時間変更や中止を伝える効果的な文言
悪天候による遅延や中止の連絡は、伝え方次第で印象が大きく変わります。
理由・配慮・代替案の3点を意識することがポイントです。
基本例:
・天候不良のため、安全を考慮し日程変更をご相談させてください。
丁寧な例:
・悪天候が予想されているため、移動時の安全を最優先し、日程変更をご相談できればと存じます。
重要なのは「相手都合を尊重する姿勢」を明確に示すことです。
実践チェックリスト:お足元の悪い中で好印象を残すために

今日から使えるワンフレーズ(対面/メール別)と使い分け早見表
場面ごとに使いやすい定番フレーズを覚えておくと、迷わず対応できます。
対面:
お足元の悪い中ありがとうございます。
メール:
本日はお足元の悪い中、ご足労いただきありがとうございました。
対面では短く温かみのある表現、メールでは丁寧で整った文章を意識すると使い分けが明確になります。
最終チェックリスト:敬語・二重敬語・配慮表現・時間確認の確認ポイント
- 敬語が過剰になっていないか
- 相手の立場(顧客・上司・同僚)に合っているか
- 安全への一言が自然に添えられているか
- 時間や待ち時間への配慮があるか
このチェックを意識するだけで、失礼や違和感を防ぐことができます。
まとめ
「お足元の悪い中」は、天候という状況を借りて相手を思いやる気持ちを伝えられる、
日本語ならではの非常に便利な表現です。
正しい意味と敬語のバランスを理解し、対面・メール・トラブル対応など
場面に応じて適切に使い分けることで、
雨の日や悪天候時でも丁寧で信頼感のあるビジネスコミュニケーションが実現します。
